韓国ドラマを何百本、何千本と見続けていると、ふと気づく瞬間があります。「この人が出ていると、作品の空気が一段深くなる」という感覚に。
オ・ジョンセという俳優は、まさにその代表格です。
主演でなくとも、台詞が多くなくとも、彼が画面に立った瞬間、物語は静かに重心を下げていく。
私はこれまで20年以上、韓国ドラマと向き合ってきましたが、“演技で温度を変えられる俳優”は、そう多くありません。
『未生~ミセン~』での一瞬の存在感。
『ストーブリーグ』で本気で嫌われた悪役。
そして『サイコだけど大丈夫』で、世界中の視聴者の胸を締めつけたムン・サンテ。
オ・ジョンセは、遅咲きという言葉では片づけられない厚みを、長い年月をかけて自分のものにしてきた俳優です。
そんな彼について検索すると、「結婚しているの?」「奥さんはどんな人?」「子どもはいる?」という声が、驚くほど多く見つかります。
それはきっと、彼の演技があまりにも“人間的”だから。
役の向こう側にある人生まで、知りたくなってしまうのです。
この記事では、オ・ジョンセの結婚・家族という私生活の一面から、俳優としてのプロフィール、長い下積み時代、そして最新ドラマまで――
20年以上韓国ドラマを見続けてきた私の視点で、丁寧に紐解いていきます。
読み終えたとき、あなたが次に彼をスクリーンで見かけた瞬間、きっとこう思うはずです。
「やっぱり、この人がいると違う」と。
オ・ジョンセという俳優を見ていると、役柄を超えて、ふと感じる瞬間があります。
それは、「この人は、きっと私生活でも人を大切に生きてきたのだろう」という、確信に近い感覚です。
感情を誇張せず、声を荒らげることもなく、それでも確かに伝わってくる優しさや不器用さ。
長年、脇役として作品を支え続けてきた彼の演技には、人生を急がず、一歩ずつ積み重ねてきた人だけが持つ重みが、静かににじんでいます。
だからこそ私は、彼がどんな家庭を築き、どんな人を人生の伴侶に選んだのかが、とても自然に、そして必然のように気になりました。
実はオ・ジョンセさんの結婚には、まるで一本のドラマのような、静かで誠実な物語があります。ここからは、彼の結婚・妻・子どもという、俳優オ・ジョンセの“もう一つの人生”に、少しだけ踏み込んでみたいと思います。
オ・ジョンセさん結婚しているの?

オ・ジョンセさんは2006年29歳の時に、一般女性アン・ヒソンさんと結婚をしています。
そして2人の子供にも恵まれて、お休みの日は家族との時間を大切に過ごしているそうです。
奥さんですが、実は小学校6年生の時のオ・ジョンセさんの初恋のお相手で、なんと19年間の恋愛の末に結婚したと、以前出演したバラエティー番組で明かしました。
オ・ジョンセさんは当時、小学校の裏庭にアン・ヒソンさんを呼び出して「大きくなったら結婚しよう」とプロポーズをしたそうです。
逆に考えたら、オ・ジョンセさん10歳の時に、すでに女性を見る目が養われていたのでしょう。
アン・ヒソンさんがイギリスへ留学していた3か月間は、とても寂しく辛かったそうです。
結婚した翌年の2007年に女の子が誕生して、その後男の子が誕生しています。
優しいお父さんな感じが想像できますね!
そんなオ・ジョンセさんのプロフィールを見ていきましょう。
オ・ジョンセさんのプロフィール

| 名 前 | オ・ジョンセ |
| 生年月日 | 1977年2月26日(現在47歳) |
| 干 支 | 巳年 |
| 身 長 | 174cm |
| 血液型 | A型 |
| 家 族 | 妻、娘、息子 |
| 学 歴 | 鮮文大学校新聞放送学科 |
| 活動開始時期 | 1997年~ |
| 所属事務所 | Prain TPC |
オ・ジョンセさんは1997年の映画『おとうさん』で俳優デビューをしています。
この時はまだエンドロールの字幕にも出してもらえていませんでした。
しかし、その後も映画中心に活動し、2005年には6作品の映画、2006年にも6作品の映画、2007年にはなんと7作品の映画に出演しています。
ドラマ出演は2005年9月から放送された『薯童謡(ソドンヨ)』長編大河ドラマに、ミョジン役で出演しています。
その後は毎年のようにドラマにも出演し、映画出演と短編映画出演と活躍をしています。
今までに数々の作品に出演しているオ・ジョンセさんですが、その中からいくつか紹介していきたいと思います。
オ・ジョンセさんの出演作品の紹介
芸歴27年となり多くの作品に出演しているオ・ジョンセさんなので、厳選は難しいのですがいくつか作品紹介をしたいと思います。
オ・ジョンセさんの出演ドラマは?
まずはドラマの出演作品の紹介をしていきます。
2014年のドラマ『未生~ミセン~』

この作品は、イム・シワンさん演じる主人公チャン・グレに、グレの上司にイ・ソンミンさん演じるオ・サンシク、キム・デミョンさん演じるキム・ドンシク、グレの同期に役に3名と繰り広げられる総合商社で働く人々を描いているヒューマンドラマです。
囲碁のプロになるべく生きてきたグレが、夢を諦めて総合商社のインターンとして営業3チームで働きますが、学歴、社会経験もないので、他の同期の3名と比べられてしまいます。
しかし囲碁で培った策略の才能を頼りに奮闘します。
オ・ジョンセさんは、繊維1チーム代理のソン・ジュンシクの不倫相手の夫役で出演しており、出演している時間はわずかですが、存在感は抜群です。
私はこのシーンを初めて見たとき、「この人、ただ者じゃない」と直感しました。
声を荒らげるわけでも、感情を爆発させるわけでもない。
それなのに、抑え込まれた怒りと尊厳が、こちらの胸にずしりと残るのです。
“短い出演時間で、物語の現実度を一段引き上げる”。
それができる俳優は、本当に限られています。
この作品には多くの俳優さんが出演していますが、それぞれの年齢層に自分と照らし合わせて観ることが出来たのか、多くの人が高い評価をしています。
なので百想芸術大賞では、3賞の受賞、4部門でのノミネートと社会現象にもなった作品です。

この作品は、Netflix、U-NEXT、FOD、Hulu、Disney+、Amazonプライム・ビデオで配信されています。
2019年のドラマ『ストーブリーグ』

この作品はナムグン・ミンさん主演ドラマで、野球の経験がゼロのゼネラルマネージャーが、4年連続最下位の球団を立て直していくという笑いもありのドラマです。
オ・ジョンセさんは、球団ドリームズの親会社であるジェソングループの常務役クォン・ギョンミンを演じています。
球団ドリームズを厄介払いをするために、ナムグン・ミンさん演じるペク・スンスGMを雇い入れます。
――「本気で嫌われる悪役」は、最高の褒め言葉
冷酷で、自己中心的で、視聴者の神経を逆なでする存在。
正直に言えば、本当に嫌な人物です。
でも私は思いました。
ここまで嫌われるということは、それだけ「嘘が一切ない演技」だということ。
悪役を“記号”で終わらせず、どこかにいそうなリアルな人間として成立させる。
その力量がなければ、この役は成立しません。
意地の悪い、嫌なクォン・ギョンミンを演じたオ・ジョンセさんですが、さすが実力派演技力の持ち主ですね、観ていて本当に嫌な人でしたもの。
この作品も多くの人に高く評価されて、百想芸術大賞では、テレビ部門でドラマ作品賞を受賞し、演技賞、脚本賞、演出賞もノミネートされました。

この作品は、U-NEXT、Netflix、FOD、Hulu、Amazonプライム・ビデオ、ABEMA、TELASAで配信されていますので、是非ご覧に!
この後は、皆さんもよくご存じのあのドラマです。
2020年のドラマ『サイコだけど大丈夫』

オ・ジョンセさんは、キム・スヒョンさん演じるムン・ガンテの兄、ムン・サンテを演じています。
このムン・サンテですが、自閉症スペクトラム障害を持ちながらも、絵を描くことの才能を持っているのです。
――演技を超えて、「生きていた」ムン・サンテ
そして、この作品です。オ・ジョンセという俳優を、世界に知らしめた決定打。
自閉スペクトラム障害を持つ兄、ムン・サンテという役は、下手をすれば誤解や
偏見を助長しかねない、非常に難しく、繊細な役でした。
- 繊細さ
- 優しさ
- 怒り
- 弱さ
そのすべてを、彼は説明ではなく“呼吸”で表現したのです。
私は何度もこの作品を見返しましたが、どの回を見ても思います。
「演じている」のではなく、「そこに生きている」と。
そして児童文学作家のコ・ムニョンのファンでもあります。
コ・ムニョンを演じたのが、ソ・イェジさんなのです。
残念ながらこの作品は、Netflix独占配信となっています。
しかし、2019年のドラマ『愛の不時着』ロスを救ったのはこの作品ではないでしょうか。
世界中で称賛されたのも、百想芸術大賞 助演男優賞を受賞したのも、決して偶然ではありません。
その後〜現在|オ・ジョンセの“全盛期”は今も続いている
ここ数年のオ・ジョンセさんの活躍を見ていると、私は確信しています。
今が全盛期。しかも、まだ更新中。
近年の主な出演作
- 『椿の花咲く頃』(2019年)
- 『模範刑事』『模範刑事2』(2020年・2022年)
- 『智異山<チリサン>』(2021年)
- 『アンクル』(2021年/主演)
- 『シスターズ』(2022年)
- 『Sweet Home2』(2023年)
- 『涙の女王』(2024年)
→ 主人公ヒョヌのカウンセラー役。静かながら強烈な存在感 - 『Mr.プランクトン』(2024年・日本放送済)
→ トリプル主演級/オ・フン役として物語の軸を担う
最近の彼は、
✔ 主演
✔ 準主演
✔ 物語を裏で支配するキーパーソン
どの立場でも、一切ブレません。
だから制作側は安心して任せられ、視聴者は「この人が出ているなら観よう」と思える。
“ハズさない俳優”――これほど信頼度の高い評価は、そう簡単には得られません。
正直に言います。
私はこの記事を書きながら、何度も作品名を見返し、「ああ、やっぱり凄いな」と独り言をつぶやいていました。
オ・ジョンセという俳優は、静かで、地味で、派手さはない。
けれど――気づいたら、物語の中心にいる。
そんな俳優を、私は心から信頼しています。
オ・ジョンセさんは多種多様な役柄を、見事な演技力で演じています。
その人物が憑依でもしたかのように本当に色々な役柄を演じています。
映画での出演の活躍も勢いついています。
映画での代表作|スクリーンでも証明された「別人級」の演技力
オ・ジョンセという俳優の恐ろしさは、ドラマだけで終わらないところにあります。
スクリーンという、アップに耐えなければすべてが嘘になる世界でも、彼は平然と“別の顔”を差し出してくるのです。
『操作された都市』(2017年)
この作品で彼が演じたのは、とても「弁護士」とは思えない、不気味さをまとった男。
顔に残る傷、視線の揺れ、言葉の間。どれもが計算され尽くしているのに、決して「作っている」感じがしない。
私は正直、途中まで「この人、本当に信用していいのか?」と、登場人物と同じ疑念を抱かされました。
観客の感情を、ここまで自然に操作できる俳優は稀です。
『エクストリーム・ジョブ』(2019年)

――韓国映画史に名を刻んだ大ヒット作
韓国歴代興行収入1位という記録を打ち立てたこの作品で、オ・ジョンセさんは犯罪組織のボスという役どころを演じています。
ただし、私たちが想像する「いかにも悪党」ではありません。
弱そうで、どこか情けなくて、でも目が笑っていない。
この絶妙なバランス感覚こそ、オ・ジョンセの真骨頂。
観ているうちに、「笑っていいのか、怖がるべきなのか」感情の置き場を失っていく――
それが、彼の演技の罠です。
『ザ・コール』(2020年/Netflix)
この作品は、コロナの影響で劇場での公開が出来ず、Netflixにて世界に配信された作品でもあります。
主演にチョン・ジョンソさんとパク・シネさんのW主演で、20年の時空を超え電話でつながった2人の女性を描いたスリラー・サスペンス作品です。
オ・ジョンセさんは、セオン・ホウ役でパク・シネさん演じるソヨンの父親の友人で、ソヨンの家の近くでイチゴ農園を運営しています。
ここでのオ・ジョンセさんは、物語の奥底に沈む“違和感”そのもの。
出番は決して多くありません。それでも、彼が画面に現れると、空気の密度が一段、重くなるのです。
私はこの作品を見終えたあと、真っ先にキャスト表を確認しました。
「やっぱり、あなたか」と。
この他にもベテラン俳優のパク・ホサンさん、イ・ドンフィさん、キム・ソンリョンさんなどが出演しています。
この作品はNetflixのみの配信となっています。
『スイッチ 人生最高の贈り物』(2023年)

そして、ここで一転。
この作品は、あの韓流ブームの第1人者でもあるクォン・サンウさんとオ・ジョンセさんのW主演のコメディー作品です。
クォン・サンウさん演じるのは、トップスターのパク・ガンは独身生活を謳歌している俳優で、オ・ジョンセさん演じるのは子供が2人いる家庭をもっている、ガンのマネージャーのチョ・ユン。
ある日2人の人生は入れ替わってしまうのです。
クォン・サンウさんのここまでのコメディー作品は、見たことがない感じで本当に笑えます。
イ・ビョンホンさんの奥様のイ・ミンジョンさんがユンの奥さんスヒョン役で出演しています。
入れ替わってしまって戸惑うガンにビンタをくらわすシーンもありで、観ていて楽しくなる作品です。
元気になりたいと思ったら観てみると、本当に元気になりますよ!
クォン・サンウさんとのW主演で見せたのは、全力のコメディ。
家族を持つマネージャーという役柄で、笑わせながら、ちゃんと胸を温めてくる。
この振り幅を、同じ俳優がやっていると理解した瞬間、私は思わず笑ってしまいました。「もう、何をやらせても大丈夫だな」と。
善人も、狂気も、悪役も、コメディも。同一人物とは思えないほどの演技の振り幅。それこそが、オ・ジョンセという俳優の最大の武器です。
まとめ|遅咲きだからこそ、ここまで深い
- 初恋の相手と結婚した、一途な夫
- 家族を何より大切にする父
- 芸歴27年以上の実力派俳優
若い頃から脚光を浴びたスターではありません。
でも私は思います。だからこそ、彼の演技には人生を生き抜いてきた人間の厚みが宿るのだと。
派手な台詞がなくても、感情を爆発させなくても、気づけば視線を奪われている。
これからもきっと、作品のどこかで、静かに、しかし確実に中心にいて、私たちにこう思わせるはずです。
「……やっぱり、この人、上手いな」と。
そして私は、そんな瞬間に立ち会えるのが、たまらなく好きなのです。



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